2010ドラフト会議終了

1.指名選手

1位 山田哲人履正社高)内野手 右投右打
2位 七條祐樹(伯和ビクトリーズ)投手 右投右打
3位 西田明央(北照高)捕手 右投右打
4位 又野知弥(北照高)内野手 右投右打
5位 久古健太郎日本製紙石巻)投手 左投左打
6位 川崎成晃(熊本ゴールデンラークス)外野手 右投右打

育成ドラフト
1位 北野洸貴(神奈川大)外野手 右投左打
2位 上野啓輔(九州IL香川OG)投手 右投右打
3位 佐藤貴規(仙台育英高)外野手 右投左打

2.補強ポイントとの合致度
先日挙げた補強ポイントは、

ローテ級投手≧即戦力中継ぎ>強打のショート(内野手
>強打、俊足強肩など特徴のある外野手(>強打の捕手)

となっています。これと今回の指名を照らし合わせると、

ローテ級投手:七條(2)
即戦力中継ぎ:(七條(2))、久古(5)
強打のショート:山田(1)
強打のサードまたは外野手:又野(4)
俊足強肩の外野手:川崎(6)、北野(育1)、佐藤(育3)
(強打の)捕手:西田(3)
(素材型投手):上野(育2)

となります(かっこ内は指名順位)。これを見ると、補強ポイント自体は一応埋めてきているといえます。しかし、最大の補強ポイントである投手についての補強がやや弱く、その反面、外野手指名が多すぎるきらいがあります。外野手については、当面の即戦力としての補強として川崎(1軍レベルの右打外野手が、飯原と守備に難のある畠山しかいないことから、それなりに意味があります)、数年後を見越した、文字通り育成目的の指名として北野、佐藤となるため、一応の合理性は認められます。一方、投手は正直七條と久古だけでは足りないと思われます。これについては、現有戦力からの成長(現状では山本、日高、平井の高卒三人衆)を期待し、さらに新外国人、トレードなどで穴埋めするしかないでしょう。

3.ドラフト戦略
 下位指名は独自色が出てくるため、単純にスカウトの眼力がものをいうことになりますが、特に3位以内の上位の指名については、ドラフト戦略が重要となってきます。
 1位については、予定通り斎藤への入札を行うも、予想以上の4球団競合の末、日ハムが当選。外れ1位としてスポーツ紙が挙げていた福井ではなく、塩見に行くも、楽天と競合し、結局外れ。3回目の正直ということで、山田を選択し、オリとまたもや競合の末、ようやく当選に至りました。
 個人的には、外れ1位に塩見を選んだことは、評価できます。福井も悪くはないのですが、四球が多いのが難点。プロではさらに苦戦することが予想されます。一方塩見は、140km以上の速球と破綻のないコントロールである程度計算できる選手です(去年のドラ1中澤よりも上だと思います)。
 そして、外れ外れ1位として山田を指名することになりました。これはドラ1相当の即戦力投手が既にいなくなっていたことから、2位では先にオリに指名されることが予想される山田をこの段階で指名しようとしたものと思われます。中途半端な投手を指名するよりは、強打のショートということで補強ポイントに合致するものであり、納得できる指名です。
 問題は、2位と3位。2位の七條は過去にもドラフト候補に挙がり、今年は広島などに高評価されていましたが、本当に2位相当の選手なのか。また、3位の西田は、捕手は優先順位が低いと思っていたため、非常に驚きました。ここは即戦力投手をもう1枚指名しても良かったと思います。

4.まとめ
 今回は、大学生が豊作といわれる中で、指名された大学生が育成の北野のみ、また、補強ポイントであるはずの投手ではなく野手を多数指名するという独自色・・・というよりも偏った指名が行われ、予想を裏切られるところが多いドラフトでした。特に北照の又野、西田のバッテリーの指名は想定外でした。しかし、大型ショート、スラッガー候補など、最近は全く指名してこなかったようなタイプの選手を指名しており、夢はあります。しかも、OBの池山が2軍コーチとして復帰するタイミングであり、きっちり育成することができれば、強力打線を1軍で見ることができるかもしれません。
 今回指名された選手たちの今後の活躍に期待したいと思います。